「チャンスは一瞬、幸運の女神は前髪しかない」
そんな言葉を聞くたびに、前髪以外ツルッツルのスキンヘッドの姿を浮かべ、果たしてそのスタイルは好みなのか、生まれつきなら気の毒だなと余計な想像をしてしまってなかなか本題が入ってこなくなるのは私だけでしょうか。
ガーデナーズジャパン海南店の高岡と申します。
今回は決して育毛剤を差し上げたくなる女神の話ではなく「植物もタイミングが命」というお話です。
何事も見極めって重要なもの。植物だってもちろん同じです。
それは収穫や花期のあるものだけではありません。
年中葉を付けていることから、手入れも特別季節を問わないように思っている方が多い観葉植物。
その植え替えにもきちんとタイミングがあるんです。
1. そもそも、なぜ植え替えが必要なのか
観葉植物に元気がなくなってきたなと感じることはありませんか?
私たちのお店にも、そのようなお悩みをお持ちのお客様から結構な頻度で質問されることがあります。
水が足りないのか、栄養が足りないのか。
そう考える前に一度根詰まりを疑ってください。
観葉植物は成長のために1〜2年のスパンで植え替えをして生育環境のリセットをしてあげることが必要です。
同じ鉢植えのままで育てると、鉢の中の限られた空間で根がぶつかり、土の中の水分やミネラルをうまく補えない根詰まり状態に。
こうなると、結果的に植物は元気を失い、最悪の場合枯れてしまいます。
体が大きくなっていくのに、元の服を着続けると圧迫されて苦しいのと同じことと考えてください。
2. では、いつが正解? 植え替えのベストタイミングとは
鉢が小さいばかりに元気がなくなっているのだとしたら、一刻も早く植え替えてあげたい。
その愛情は痛いほどわかります。
でも、ちょっと待ってください。
まずは「いま何月なのか」を確認することが植え替えのスタートです。
観葉植物は熱帯地域原産のものが多く、種類にもよりますが、一般的には寒さが苦手なものが多いのが特徴です。
そのため、基本的に植物の植え替えに向いているのは暖かい時期。
メインは5〜6月で、8月ぐらいまでがベスト。気候の寒い地域でなければ9月まで問題ありません。
そう、リミットは9月中。今年植え替えたいなら9月がラストチャンスということです。
植え替えは根を広い空間に解放してあげると同時に、植物にダメージも与えてしまう作業です。
そのダメージを成長でカバーできるのは9月がギリギリ。
それ以降は寒さで植物自体が弱ってしまうリスクが高まるので、どうぞご注意ください。
3. リミットを過ぎてしまった場合は・・・
では、9月までに植え替えができなかった場合はどうするか。
その答えは「春までそのまま寝かせてあげてください」です。
そして、もうひとつ注意したいのは、根詰まりや寒さで弱っている植物に水や肥料はタブーということです。
たとえば、寒くなって元気がないからと植え替えて肥料や水をガンガンやるとどうなるでしょう?
それは植物にとって「風邪で高熱がある時にステーキを食べさせている」ようなもの。
やみくもに栄養を与えればよいというものではありません。
しっかりと休ませてあげて、暖かくなるのを待ってあげてください。
4. 正しいタイミングで楽しいグリーンライフを
タイミングを逃すと次は来年の春。
長くそのままにするのは気を揉むことかもしれませんが、きちんとタイミングを合わせて植え替えれば、植物はたくましく、美しい葉を茂らせてぐんぐんと成長してくれます。
その成長こそが植物を育てる醍醐味というもの。
植え替えて元気になった姿を見ると、嬉しくなる。それを「幸せ」と考えると、冒頭の女神の話もあながちただの例えでもないかもしれません。
「幸運の女神」ならぬ、「植え替えの神様」が通り過ぎる一瞬を、どうぞお見逃しなく。
もちろん、植物の種類によってはこの限りではありません。
自分での判断が難しい場合や最適な鉢サイズがわからないなど、グリーンに関する疑問や質問がある場合はガーデナーズジャパンまでお気軽にお尋ねください。
グリーンの専門家でもある当店スタッフが丁寧にご説明いたします。